ブログ

整形外科でも治らなかった腰痛の原因は「便秘」だった

― 腸の硬さと腹圧が腰痛に与える科学的メカニズム ―

■ 腰からお尻にかけて激痛がはしる女性患者さんのケース

体に痛みが出るたびに当院へ通ってくださってい女性患者さんがいます。
経験上、施術して治らなければ他に何かあるため、すぐ医療機関の受診をお願いしています。普段は施術で症状が落ち着くのですが、その方も

①症状が改善しないこと。②痛みの部位が変わることから筋、関節の問題ではないと考えたこと。

から医療機関の受診をすすめました。

MRIの結果は軽度の脊柱管狭窄症
整形外科でブロック注射や薬の処方を何度も受けましたが、痛みはほとんど変わりませんでした。さらに整形外科、内科を数件回ったが原因不明。

症状はかなりつらそう。
歩いて通院できないほど強い痛みと動作制限がありました。
しかし、どの病院でも原因不明のまま、改善しない日々が続いていました。

ご本人はつらいから入院したいと言っていたので、原因もわからないからそれが良いと思うと伝えたが、医療機関に不要と言われてしまいました。

そんな中、便秘だったのでご自身で浣腸したところ出血し、救急搬送されました。
浣腸をしても出ず、腹部の激しい張りと出血を伴って救急車で運ばれたのです。

入院して便秘が改善するとともに腰痛も改善。原因は便秘だったのです。

腸の不調が腰痛の根本原因だったのです。


■ 腸と腰痛の関係 ― 科学的に証明された2つの論文

● 腸の不調を抱える女性ほど腰痛が多い

Smithら(2008)の研究では、腸や消化器の症状が多い女性ほど腰痛の発生率が高いことが示されています。
(出典:PubMed: 18287824

38,000人以上の女性を対象にした大規模調査で、
便秘・腹部膨満・痔などの症状を複数抱える女性は、
そうでない女性に比べて腰痛を訴える頻度が約3倍も高かったのです。

研究者らはその理由を以下のように説明しています:

  1. 内臓-体性反射(viscero-somatic reflex)
     腸の不調が反射的に腰部の筋・筋膜を緊張させる。
  2. 排便時のいきみや腹圧上昇が腰椎への負荷を増大させる。
  3. 腹部支持筋群の機能低下により体幹の安定性が損なわれる。

● 腹圧が上がると腰椎が硬くなる

Hodgesら(2005)の研究では、腹腔内圧(IAP: Intra-Abdominal Pressure)を意図的に上げると、腰椎(L2・L4)の剛性=硬さが増すことが実験で確認されました。
(出典:DOI: 10.1016/j.jbiomech.2004.08.016

  • 横隔神経を刺激して腹圧を27〜61%上昇させると、腰椎の硬さが8〜31%増加
  • 腹筋や背筋を動かさず、腹圧そのもので腰椎が硬くなったことが確認されました。

つまり、便秘やガスでお腹が張ると腹腔内圧が高まり、
腰椎の動きが制限され、腰の奥に痛みが出る可能性があるのです。


原因

その女性の原因は内臓-体性反射が原因だったと考えています。痛みの部位が変わったのは、腸内の便が移動するたびに圧迫される神経部位が変わったのだと考えています。

■ 臨床での気づき ―腹部で大切なのは 腸腰筋のみではない

それまで私は、腰痛患者さんの多くに対して腸腰筋へのアプローチを重視してきました。
姿勢保持や体幹安定には欠かせない重要な筋肉です。

しかし、このケースを通じて痛感したのは、
腸腰筋の表層にある「腸そのもの」が原因になるということ。

腸が硬く緊張すると、

  • その下層にある腸腰筋の動きが制限される
  • 腰椎の伸展・屈曲が阻害される
  • 慢性的な腰痛・重だるさが続く

つまり、筋肉だけを緩めても、腸が硬ければ改善しきれないのです。


■ 腸に触れる腰痛治療へ

それ以後、腸腰筋のみに留まらず、
腸そのものの可動性・柔軟性・緊張状態にも直接アプローチしています。

■ 腸へのアプローチで注意していること

腸へのアプローチを行う際には、解剖学的な構造を十分に理解したうえで、
安全性に最大限配慮することが大切です。
当院では、以下の3点に特に注意して施術を行っています。

  1. 血管(特に腹部大動脈・腸間膜動脈)への圧迫を避けること
     腹部中央には大きな血管が通っているため、強く押すことは危険です。
     軽い圧で呼吸に合わせながら、腸の動きを感じ取るように施術します。
  2. 神経叢への過剰な刺激を避けること
     腹部には自律神経が集まる神経叢(ソーラープレクサスなど)があり、
     強い刺激を与えると吐き気やふらつきを起こすことがあります。
     そのため、常に優しく穏やかな圧で行うよう心がけています。
  3. 消化器・婦人科疾患を除外してから行うこと
     強い腹痛や発熱、下血などの症状がある場合は、
     まず医療機関での検査・診断を受けていただきます。
     腸へのアプローチは、あくまで構造的・機能的サポートの一環であり、
     疾患そのものを治す施術ではありません。

腸は非常に繊細な臓器です。
「押す」のではなく「感じ取る」意識で、安全かつ丁寧に触れることを心がけています。

腸を含めた腰痛治療は徒手療法の鍵になります。

「脊柱管狭窄症」「加齢」「筋力低下」と言われても、
改善しない腰痛の中には腸が関わっているケースが確実にあります。

筋肉だけを見ていたら見落としてしまう「腹部の硬さ」
腸の張り、ガス、便秘、腹圧の異常。
それらを整えることが、本当の腰痛改善への道になるのです。

また、腸と椎間板変性との関係もまた詳しく書きたいと思います。


🩺 参考文献

  • Hodges PW, Eriksson AEM, Shirley D, Gandevia SC. Intra-abdominal pressure increases stiffness of the lumbar spine. J Biomech. 2005;38(9):1873–1880.
  • Smith MD, Russell A, Hodges PW. How common is back pain in women with gastrointestinal problems? Pain. 2008;138(2):315–322.
~ラインは24時間受付可能~お気軽にお問合せ下さい~
①お名前②携帯番号③ご予約ご希望日時④お体の状態・ご相談
以上をメッセージにご記入の上送信してください。

電話でご予約・お問合せは下記ボタンからどうぞ

〒468-0025 愛知県名古屋市天白区高坂町313-3 天白接骨院

鈴木

国家資格【柔道整復師】1985年生/男児二人の父。 大学在学中にリハビリの世界に興味を持ち徒手療法の世界に飛び込みました。AKA療法を駆使して体の痛みの根本にアプローチ。プロスポーツ選手のケア実績多数。慢性的な肩こりや腰痛で苦しむ方は非常に多いのに、病院では相手にされない方が多いのが現状です。医学的根拠に基づいたアプローチにこだわり、痛みや不調の治療に日々全力を注いでいます。ライン受付は24時間対応可能です。お気軽にお問合せください。

-ブログ
-,