
メタボリックシンドロームって何でしょう?
●メタボリックシンドロームとは
ウエストの周りが男性で85cm以上、女性で90cm以上、それにプラスして次の中から2つ当てはまったらメタボです。
①高血圧(最高血圧130以上or最低血圧85以上)
②高血糖(空腹時血糖値110mg/dL以上)
③高脂質(高トリグリセライド血症150以上or低HDLコレステロール40以下)
Contents
肥満の種類

肥満にもタイプがあるよ!?
●体のどの部分に脂肪がつくかによって、肥満は2つのタイプに分かれます。
洋ナシタイプ (皮下脂肪型肥満)
下腹部、腰のまわり、太もも、おしりのまわりの皮下に脂肪が蓄積するタイプを皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満ともよばれている)といいます。
リンゴタイプ (内臓脂肪型肥満 )
一方、内臓のまわりに脂肪が蓄積するタイプを内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満ともよばれている)といいます。
この2つのタイプのうち、皮下脂肪型肥満は外見から明らかにわかりやすいですが、リンゴ型(内臓脂肪型肥満)は外見ではわからないことがあります。
内臓脂肪型肥満を簡単に調べる方法として、ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満が疑われます。
これは内臓脂肪面積100cm2以上に相当します(内臓脂肪量はCTスキャンで見れます。)
このたまった内臓脂肪が高血圧、高血糖、高脂血症などを引き起こす原因となります。
3)メタボリックシンドロームになると何が危険?

心臓病や脳卒中になる原因は動脈硬化といって血管が固くなって中が詰まる病気。
そのメインの原因は肥満、高血圧、高血糖、高脂血症です。
全部メタボの症状ですよね。

リスク原因1つでも動脈硬化の危険を高めるのに、メタボは複数当てはまるからかなりヤバイ。
普通の人と比べるとリスク2つで10倍!
3つになると30倍以上になるんですね1
動脈硬化は、血管が硬くなり中が詰まって心臓病(心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中(脳梗塞など)、閉塞性動脈硬化症(間欠性跛行(かんけつせいはこう)、壊疽など)の心血管病を引き起こします。
これらの病気は発病すると元に戻りません。
そのため、メタボリックシンドロームと診断されたらできるだけ早く治療しないと取り返しのつかないことになってしまいます。
メタボリックシンドロームの原因
メタボリックシンドロームの原因は、内臓にたまった脂肪です。
それは食べ過ぎや運動不足といった生活習慣の乱れなどから生じるのです。

内臓の脂肪細胞が体に悪い色んな悪玉ホルモンを出します!
これらの物質によってインスリンがうまく働かなくなって高血糖になったり、血圧が高くなって高血圧になったりします。
また、血液中の脂肪が過剰になり高脂血症になります。

次は脂肪細胞について解説します!
脂肪細胞ってなに?白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞

まず脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります!
この2つの役割はカンタン!
白色脂肪細胞は脂肪をためる
褐色脂肪細胞は、脂肪を使い熱を作る
白色脂肪細胞は皮下や内臓の周囲に多くある。
人体の数は250~300億個。
直径は正常な脂肪細胞において70~90μmであり、肥満時に130~140μmまで大きくなる。
白色脂肪細胞の脂肪滴には中性脂肪(トリグリセリド)が0.5~0.9μg貯蔵されている。
一方、褐色脂肪細胞は、肩甲間、腎周囲、胸部大動脈周囲に少量存在する。
褐色脂肪細胞は新生児の体に多く存在しており、成人になるにつれて減少していく。
成人でも、体の熱生産を行っていると考えられています。
このことから褐色脂肪細胞が多く、活性化している方は脂肪を燃焼しやすい「痩せ体質」ということが言えるのです。
これらの脂肪細胞は交感神経によって支配されています。
まず交感神経の末端からノルアドレナリンが出されて、脂肪細胞にあるβ3受容体というタンパク質に結合します。

ノルアドレナリンがカギで受容体がカギ穴と考えると分かりやすいかな!
脂肪細胞のはたらきを簡単に説明
ノルアドレナリンの命令
⇓
白色脂肪細胞は貯め込んだ脂肪を脂肪酸に分解して血中へ出る
⇓
脂肪酸は血中へ出て、肝臓や褐色脂肪細胞へ運ばれる
⇓
褐色脂肪細胞はそれをとり込んで熱に変える。

ちなみにそう簡単にはメタボは治りません。
特に日本人の3割は食事制限が効きづらい人もいるんだ。
日本人の遺伝子変異~ダイエットに食事制限が効率が悪い理由~
確かに白色脂肪細胞は脂肪を蓄え、褐色脂肪細胞は脂肪を燃やして熱を発生させます。
が、しかし!!
先ほどのノルアドレナリンを受け取る受容体が変異しているケースがあるのです。

遺伝子変異していると、ノルアドレナリンの指令を受け取れなくなってるんだ。

日本人の3割がこの変異があるらしいんだ。

食べ物が無い時代を生き抜いてきたから、脂肪を簡単に燃やさず、ため込める能力が高いんでしょう!
この遺伝子変異についてはアメリカ先住民のピマ族の研究が有名です。2
この部族の祖先は中世期に二分され、1つのグループはアメリカのアリゾナ平原に移住、もう片方はメキシコの山間部に移住しました。
アメリカのピマ族は20世紀中頃より農業をやめ、政府の支援により欧米式の食事を摂るようになりました。
その結果、2人に1人が糖尿病になってしまったそうです。
一方、先祖伝来の農業による自給生活を送っているメキシコのピマ族には糖尿病がほとんどみられず、平均体重もアメリカのピマ族に比べて26キロも軽いそうです。
このように、同じ遺伝子を持つ集団であっても、食生活や日常での生活習慣の違いにより、体型の変化や病気の発症に大きな違いが生じてきたということになります。

ピマ族は先ほど説明した遺伝子変異があります。
そしてこの変異はじっとしてる時の熱を作る力が減らされてしまうのです。(安静時代謝量)
変異遺伝子をもつ人では正常遺伝子の人よりも200キロカロリーも少ない。

この遺伝子変異は3割の日本人にもある。
つまり、日本人の3割は、じっとしていても太りやすいんです。

普通の人よりも太りやすいから、むしろ食事には気を付けないといけない!
もちろん食事だけで無く運動もする必要があります!
メタボリックシンドロームの治療法
メタボリックシンドロームの治療は、とにかく肥満を改善し、内臓脂肪を正常まで少なくすることです。
これによって、高血圧、高血糖、高脂血症は改善されます。
肥満の改善には摂取カロリーを少なくし、運動をすることが最も重要!

褐色脂肪細胞を元気づけるのが大切!
続く。
1今任拓也、谷原真一「肥満関連遺伝子多型と環境要因との相互作用に関する疫学的研究」2015福岡大学研究論
2 水嶋春朔 国立保健医療科学院「メタボリックシンドロームの考え方~判定と生活習慣支援のイメージ~」 平成17年度厚生労働科学研究
