前鋸筋の主な作用は肩甲骨を外転と胸郭への固定です。
肩甲骨をはがすと拮抗筋である大・小菱形筋や肩甲挙筋とつながっています。
前回お伝えした通り、マッスルインバランス状態にある方の前鋸筋は弱化しています。なので顔が前方に突き出している猫背の人は前鋸筋のトレーニングをする必要があるわけです。ちなみに前鋸筋トレーニングは肩関節の運動への関与も大きく、トレーニングを1週間行うと肩関節の内旋、外転、屈曲が10%アップします。※外旋はアップしません。
前鋸筋は機能的に上・中・下と分けることができます。
筋束 | 付着部 |
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上部(肩甲骨回旋) | 第1肋骨から肩甲骨上角 |
中部(肩甲骨外転) | 第2,3肋骨から肩甲骨内側縁 |
下部(肩甲骨上方回旋と外転) | 第4-8肋骨から肩甲骨下角 |
神経は首から出る神経C4、5、6、7、もしくはC5、6、7。C5は60%の割合で中斜角筋を貫通しており、この部で損傷や、圧迫を受け麻痺することが多いです。C5単独での上部筋支配は2割で、ほとんどが複数神経支配されています。
中・下部筋束は8割がC6,7によって支配されています。
前鋸筋の機能不全は短縮してしまえば、菱形筋や肩甲下筋が伸ばされます。この場合は腕を上げたりする動作の際、僧帽筋上部で代償し、僧帽筋上部が過緊張しています。
また、弱化すれば肩甲骨が上に上がってしまいマッスルインバランスを引き起こします。
前鋸筋の弱化は翼状肩甲の有無か、筋力テストを行います。筋力テストはこぶしを突き出してもらい抵抗をかけ、左右差をチェックします。ちなみに、あおむけで行うよりも座位の方が前鋸筋単独で活動量が高くなるので座位でチェックすることが多いです。
頭部が前方に突き出した前鋸筋の弱化は勿論ですが、ただの猫背の場合、前鋸筋は短くなって縮こまってしまっています。(短縮)なで肩などがそうなります。短縮している場合でもエクササイズにより活性化させることが大切です。活性化させた後にストレッチをかけることにより伸縮し、その機能を取り戻すことになります。