子供の腰痛を甘く見てはいけません。特に注意をしなくてはいけないのが腰椎分離症です。
野球やバレーなどスポーツで反らしたり、ひねったりする動作の多い10‐15歳の男女に多発する疲労骨折です。
骨の椎骨のリングの部分が折れます。片側の時もありますが、多くの場合で両側が折れるようです。
当然、片側のみの方が回復は早いです。
回復には3ヶ月から18カ月など期間は様々です。アスリートの多くに腰椎分離症があります。腰椎分離症そのものよりも分離し、それがすべることにいより腰椎分離すべり症になります。そうなると神経症状などおおくの辛い症状を出し、最終的には手術をすることになります。
やっかいなのは腰椎分離症は症状が出ないケースもあるという事です。腰痛になるがしばらくすると腰痛が治る、このことから単なる筋肉の疲労やダメージだろうと親御さんが思ってしまい、受診しないケースがあります。先述の腰椎分離症は症状が出ないこともあるため、分離症がある場合は医療機関で画像検査をします。特に初期の骨折はレントゲンだけではわからないこともあるため、MRI検査を受けないと分かりません。
骨折が見つかった場合、本人用の特注コルセットを作成します。2-3ヶ月は多くの場合、運動中止か、コルセットをしたまま運動を始めます。私は当初右利きの場合左に回旋するため、左のリングに伸展と側屈圧力がかかり、左のリングが骨折するかと考えていました。
しかし調査によると右回旋時に左のリングに圧がかかる、すなわちコッキング期から加速期に左側に圧力がかかるようです。
疑問が残るのはコッキング期よりフォロースルーのほうが大きな力が働くはずだという事、そして左打ちのバッターや、左投げの投手は全て強い右回旋をするのだから左側の分離症が生じる事になる。その統計調査も見たいですね。
分離症が治らなかった場合は、骨折を治すのではなく、痛みをいかに出さないかのケアに変わります。
最も大切なのはすべり症を引き起こさない事。すべり症になるかならないかの判断は椎体の骨年齢により推測可能です。
- Cartilaginous stage椎体と椎間板の間にある二次骨化核が骨化する前を
- Apophyseal Stage,骨化が生じたがまだ成長軟骨が残存する
- Epiphyseal stage骨化が完了し椎体と癒合し成長が終了した
基本的に小学生はC,高校生はEステージのため、小学生はすべり症になる確率が高い。成長軟骨板がすべることによりすべり症になるため成長軟骨板が消失した発育終了時にはならない。
したがって小児であればあるほど、腰痛に気を付けなければなりません。中年期以後の腰のコンディションは親を含め、大人たちにかかっている。
西良浩一「腰椎分離症Spine Surgeonが知っておくべきState of the Art」spinal surgery25(2)119-129,2011