野球界で見られるランニング不要論、ダルビッシュ選手が良く発言されてますね。また、村上宗隆選手も全力でバットを振れなくなったらフォームが崩れるから素振りを辞めていた趣旨の発言をしていました。
なぜ一流の選手たちでも意見が分かれるのか。
その点に関して日頃スポーツ選手達のケアをしている立場から考察します。野球素人なのであしからず。
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筋肉の種類と速筋・遅筋のタイプ分類
筋肉は、大きく 「速筋(白筋)」と「遅筋(赤筋)」 に分けられ、さらに 速筋はType IIaとType IIxに細かく分類される。それぞれの筋肉は、発揮する力の速さや持久力の違いによって異なる役割を持っています。
✅ 速筋(白筋)と遅筋(赤筋)の基本的な違い
筋肉の種類 | 収縮速度 | 持久力 | パワー(力の強さ) | エネルギー供給 | 色 |
---|---|---|---|---|---|
速筋(白筋) | 速い | 疲れやすい | 強い | 無酸素運動(ATP-CP系・解糖系) | 白色 |
遅筋(赤筋) | 遅い | 疲れにくい | 弱い | 有酸素運動(酸化系) | 赤色 |
⚡ 速筋の特徴
- 短時間で爆発的な力を発揮する
- 持久力が低く、すぐに疲れる
- ダッシュやジャンプなどの瞬発的な動作に使われる
- 酸素をあまり使わず、糖(グリコーゲン)をエネルギー源とする
🏃 遅筋の特徴
- 持久力が高く、長時間働く
- 力は弱いが、疲れにくい
- マラソンなどの長時間運動に適している
- 酸素を使って脂肪を燃やしながらエネルギーを供給する
✅ 速筋(Type II)と遅筋(Type I)の詳細な分類
速筋は、さらに 「Type IIa(中間速筋)」と「Type IIx(爆発力速筋)」 の2種類に分かれます。
タイプ | 収縮速度 | 持久力 | パワー(爆発力) | エネルギー供給 | 色 |
---|---|---|---|---|---|
Type I(遅筋) | 遅い | 高い | 弱い | 有酸素運動(酸化系) | 赤 |
Type IIa(中間速筋) | 速い | 中程度 | 中程度 | 無酸素運動+一部有酸素(解糖系+酸化系) | ピンク |
Type IIx(爆発力速筋) | 非常に速い | 低い | 非常に強い | 無酸素運動(ATP-CP系) | 白 |
✅ 各タイプの役割と使われるスポーツ
タイプ | 役割・動作の例 | 関わるスポーツ |
---|---|---|
遅筋(Type I) | 長時間の持久力運動(ウォーキング、ジョギング) | マラソン、トライアスロン、登山 |
速筋 Type IIa | 持久的な瞬発力(スプリント、繰り返しのダッシュ) | 野球(ピッチング)、サッカー、バスケットボール |
速筋 Type IIx | 一瞬の爆発力(全力ダッシュ、ホームラン級のスイング) | 100m走、ウェイトリフティング、ハンマー投げ |
▶ 結論:「Type IIaは持久力のある速筋、Type IIxは爆発力特化の速筋!」
✅ 5. 速筋・遅筋の割合は遺伝で決まる?
- 速筋と遅筋の割合は、生まれつき(遺伝)で決まる部分が大きい。
- しかし、トレーニング次第でType IIa ↔ Type I への変化は可能。
- Type IIxはType IIaに変化しやすく、トレーニングで 「速筋の持久力を高める」 ことはできる。
ピッチングは速筋なのか?遅筋なのか?
ピッチングは「何十球、何百球と投げる持久的な動作」ですが、実際には 速筋(特にType IIaとType IIx) がメインで使われる動作です。
✅ なぜピッチングは速筋(特にType IIa・IIx)が重要なのか?
① 投球動作は爆発的な瞬発力が必要
- ピッチングの動作は 1球ごとに全身の力を一瞬で解放する爆発的な動き。
- 特に 下半身(大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリング)、体幹、肩・腕の筋肉 が瞬発的に力を発揮する。
- このため、速筋(Type IIa・Type IIx) がメインで使われる。
▶ 例
- ストレートを全力で投げる = 速筋を最大限活用
- スライダー・カーブなどの変化球も、一瞬の力発揮でリリースするため速筋が必要
② 速筋(Type IIa)がピッチングの持久力を支える
- 速筋には 「Type IIa(持久力を備えた速筋)」と「Type IIx(最大瞬発力を持つ速筋)」 の2種類がある。
- ピッチングは短時間の爆発的な動作を繰り返すため、Type IIaが特に重要。
- Type IIaは「持久力がある速筋」であり、試合を通して速い球を投げ続けるのに適している。
▶ 例
- 1球ごとの動作は速筋(特にType IIx)で行う。
- 100球を投げ続けるためには Type IIaを多く持っていることが重要。
③ 遅筋(Type I)もピッチングに関与するがメインではない
- ピッチングは「長時間動き続ける」動作ではあるが、ランニングのような一定の持久運動ではない。
- とはいえ、試合を通して疲れずに投げ続けるために遅筋(Type I)もある程度必要。
- 肩周りや体幹の安定性 には遅筋が関与する。
▶ 例
- 遅筋が弱いと後半に疲れやすくなり、球速が落ちる。
- 「試合の終盤でも安定したフォームを維持する」ために遅筋がサポートする。
✅ ピッチングにおける速筋と遅筋の役割まとめ
筋肉の種類 | ピッチングにおける役割 |
---|---|
速筋(Type IIx) | 1球の爆発的な力(球速・瞬発力) |
速筋(Type IIa) | 速い球を何度も投げ続ける持久的なパワー |
遅筋(Type I) | 長時間の試合でフォームを安定させる |
✅ ピッチングに最適な筋トレ方法
ピッチャーに必要な筋肉は 速筋を中心に鍛えつつ、試合を通して維持する持久力も強化することが重要。
目的 | トレーニング方法 |
---|---|
速筋(Type IIx)強化 | クイックリフト(パワークリーン、スナッチ) |
速筋(Type IIa)強化 | スプリントトレーニング、プライオメトリクス(ジャンプトレーニング) |
遅筋(Type I)補強 | 軽負荷高回数の体幹トレーニング(プランクやスローローテーショナルエクササイズ) |
- ピッチングやバッティングは 「瞬発力が求められる動作」 なので、基本的に速筋(特にType IIa・Type IIx)がメイン で使われる。
- ただし、試合を通してフォームを安定させるために 遅筋もサポート的に関与。
- 速い球を投げ続けるには「速筋の持久力(Type IIa)」が鍵。
▶ つまり、ピッチングは「速筋主体+遅筋補助」のバランスが大事!
速筋(Type II)は何種類あるのか?
速筋(Type II)は大きく分けて2種類(Type IIaとType IIx) ですが、さらに細かく分類すると Type IIb もあります。ただし、ヒトでは Type IIb の割合が非常に少なく、多くは Type IIx として扱われます。
✅ 速筋(Type II)の種類と特徴
タイプ | 収縮速度 | 疲れやすさ | 持久力 | 主な役割 |
---|---|---|---|---|
Type IIa(中間速筋) | 速い | やや疲れやすい | ある程度の持久力あり | 長めのスプリント、繰り返しのダッシュ、ピッチング |
Type IIx(最速・最大パワー) | 非常に速い | すぐに疲れる | ほぼ持久力なし | 爆発的な動作(ホームランスイング、短距離走スタート、全力投球) |
Type IIb(動物ではメイン) | 最速(IIxよりもさらに速い) | 非常に疲れやすい | ほぼ持久力なし | ヒトにはほとんど存在せず、主に動物で見られる |
✅ 各タイプの詳細
① Type IIa(中間速筋)
- 特徴:
- 速筋の中でもある程度の持久力がある
- 速い動きを長く維持できる(短距離走、野球のピッチング、サッカーのダッシュなど)
- 酸素もある程度使える(有酸素性+無酸素性代謝)
- 「トレーニング次第でIIxにもI(遅筋)にも変化可能」
- 関わる動作の例
- ピッチング(100球投げ続ける能力)
- 回数の多い素振り(素早いスイングを何度も繰り返す)
- 繰り返しのダッシュ(サッカー、バスケットボールなど)
② Type IIx(爆発力特化の速筋)
- 特徴:
- 速筋の中でも最も速く収縮する
- 最大パワーを発揮するが、すぐに疲れる
- 無酸素運動が中心(酸素をほぼ使わない)
- ヒトの速筋の多くはType IIaで、IIxの割合は少なめ
- 関わる動作の例
- ホームラン級のフルスイング
- 150km/hのストレートを投げる
- 短距離走のスタートダッシュ
- ウェイトリフティングの一瞬の爆発的な力発揮
③ Type IIb(動物向けの最速筋)
- 特徴:
- IIxよりもさらに速く、瞬間的な爆発力に特化
- 非常に疲れやすい(持久力はほぼゼロ)
- ネズミやウサギのような動物に多く、ヒトにはほとんど存在しない
- ヒトではIIbの代わりにIIxがその役割を担う
- 関わる動作の例(動物)
- ネコが一瞬でダッシュする動作
- チーターが短距離で最高速度を出すとき
👉 結論
「ピッチングはIIaが中心、ホームラン級のスイングや全力投球はIIxが重要!」ですね。参考になれば幸いです。